9/8の日経、「日曜に考える」欄に、明治時代に一部で唱えられていた「人種改良論」についての記載があったが、その内容がなかなか衝撃的だった。
西洋への過度の憧れをいだき英語の習得につとめたというのは想像ができたが、さらに、英語を国語にしようという論まであったとは。。。
極めつけは、「西洋人と結婚し優れた子孫を」という人種改良論。
日本と西洋との格差は文明・科学だけではなく、人間個々人の知力・体格の差でもあり、日本人は大きく劣っていると考えれられた。
ならば、日本人は西洋人と「雑婚」(国際結婚)し、心身強壮で知力も優れた子孫を残し、民族として改良すればいいという「人種改良論」が主張された。
「日本人改良論」は1884(明治17)年に高橋義雄によって著されたものであるが、高橋は福沢諭吉の影響を受けていたという。
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福沢といえば、「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という平等の理念を掲げたことで有名だが、実際のところは、平等が理想ではあるけれど現実には人間の優劣はすでに先天に定まっているものという優生思想的考えを持っていた。
体質の弱くして愚かなる者には結婚を禁じるか、避妊させて繁殖を防ぐべきだと記してさえいたというのは驚くべき事実だった。
この記事の最後のパラグラフでのまとめも興味深い。
行き過ぎた欧化熱はその反動として、国粋主義という新たな「熱病」を産むことになる。「優等」「劣等」という民族観は「第1位は西洋だが、自分たちは第2位」という卑屈な自己意識となり、他のアジア諸国など非西洋への蔑視感情につながっていく。
歴史は繰り返す。
歴史になかなか学ばないのが人間。