なぜこの本を買ったかの記憶がない。
もらった記憶もないから、おそらく何かで紹介されていたのか。
数年前、寝る前に読む本として枕元の本棚に置いてて、読もうとトライしたが読み切れなかったはず。
200ページもない薄い本なのに。
その原因が、今回よくわかった。
ストーリーも構成も圧倒的に解りずらいのだ。
どこまでが空想や夢で、どこからが現実なのかの境界線が曖昧なところが多い。
暴力とエロティシズムと倦怠感が蔓延してて、読んでいて鬱々とした気分になってくる。
ところどころ読みやすく、わかりやすい箇所もあるにはある。
しかし、わかりにくい文章が数ページ続く箇所も。そういうところは頭にまったく入らず、飛ばしてしまう。
全体を通して、作者の中のドロドロしたものが吐き出されている感はある。かなりひねくれた方法で。
作者による文庫版の後書きで、この作品が三島由紀夫賞を受賞したことを知った。さぞや話題になっただろう。そのわかりにくさも含めて。
渡部直己氏が解説を書いているが、それすら途中から読み進めるのが憚られるちんぷんかんぷんさ。
ある意味、すじが通っていて納得はいったがすぐに読み返したい類のほんではない。
またチャンスがあれば、腰を据えてじっくりと向き合ってみたい。