大阪のおばちゃんの話

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日経12/29朝刊文化欄。作家の新井素子氏によるコラムより。

私達夫婦は、もの凄いいきおいで迷子になった。ただ。実は、殆ど、困らなかった。
 
というのは、地図を手にした私達夫婦が途方にくれていると、必ず声をかけてきてくれる人がいたから。大阪のおばちゃん。
 
こっちから道を聞いた覚えは…うん…一度もないと思う。すべて、おばちゃんの方から、声かけていただいた。そんでもって、嬉々として道を説明してくれるおばちゃんがほぼ半分。残りの半分は、
「ああ、その道、判りにくいから。私ちょうどそっちへ行くし、案内してあげるわ」
…これ…どう考えても、嘘だと思う。そんなに偶然、私達が行きたいほうへ行くおばちゃんばっかりが、大阪の道に溢れている訳がない。
 
極めつきは、入院した義母の下着を買いに行った時だ。入院する義母の為の替えの下着を…って意味の言葉を私が言った瞬間、その店のおばちゃんは、
「なら、あと、湯飲みと急須。タオルもあったほうがいい。病院で使えるようなちょうどいい急須が、確かあそこの店にあったから…」って、自分のお店放り出して、その急須を扱っているお店に私のことを連れていってくれたんだ。
 
何なんだろう、この、大阪のおばちゃんの親切さ加減は。そもそも、積極さが、凄い。”人に聞かれたから教える”んじゃなくて、”困っている感じの人がいたら、とにかく声をかける”、この、親切の積極さは、一体何だ。

年末にほのぼのとした気持ちになった。


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