【書評・感想】 論理が伝わる「書く技術」/倉島保美

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ronrigatutawaru

「本書は、論理的な文章(例えば、論文やプレゼン)を伝えるための技術について書かれた本であり、読み物用の文章向けの技術ではない。読み物の場合、読み手は内容を楽しむために読むのであって、速読できる必要もない」と、本書の趣旨について書かれている。

現在の自分について考えると、論理的な文章を書かねばいけない機会は極めて少ない。しかし、このブログや一般的なネット上のサイトも、楽しむために読むのではなく単に必要な情報を入手しようとしてアクセスする場合も多々あるはず。いや、むしろそちらのほうが多いのかもしれない。

Googleである事柄について検索したり、facebookやtwitterで誰かがシェアした記事を読んだりするとき、文章の読み手は、その文章をできる限り短い時間で読み、そこに書いてある情報を入手したいと思っているはずだから。

以下、参考になった点。

・大事なのはポイントが30秒で伝わるかどうか。そして、読むべきところと読む必要のないところが、はっきり分かること。読む必要のないところは、読み飛ばしてもらったほうがいい。本書によって納得させられたこととして、読み飛ばした方が、重要な情報が記憶に残るということ。

・多くの人は、自分が読むと分かりやすいから、他人が読んでもそうだと思いがち。伝えるためには、自分の感覚ではなく理屈で書かねばならない。

・書き手が最後に主張を書きたくなるのは、書き手にとってはそのほうが楽だから。しかし、読み手にとっては、その構成はわかりにくい。というのも、読み手は、予備知識なく(少なくとも書き手とは異なる予備知識を持って)、書いてあることを書いてある順に、頭にインプットしていくのだから。

・パラグラフは1つのトピックのみを扱う。長さは4~8文が目安。最初の1文は要約文。

・パラグラフ内では改行しない。1文や2文で次々に改行して文章を書くと、ロジックの構成単位とレイアウトの固まりが一致せず、伝わりにくくなる。

・短期メモリには7±2個の情報を約20秒だけ保存できる。長期メモリは、ほぼ無制限の情報をほぼ永久的に保存できる。人は、短期メモリに入った情報を、長期メモリに保存されている情報を使いながら処理する。人はメンタルモデルを作って、その処理を高速に行おうとする。書き手は、読み手が作ったメンタルモデルに沿って文章を展開することで、読み手は読みやすくなる。

 だから、文章を総論のパラグラフで書き始めると、その先に何が書いてあるかを予想するメンタルモデルが作られるため、読み手はその先の詳細が理解しやすくなる。また、総論のパラグラフが先頭にあることで、読み手は主張を先に読むので、各論で述べる根拠を検証しなかがら読むことができる。総論は書き手にとっては不要でも、読み手にとっては重要。

・総論は具体的でありながら簡潔である必要がある。目的や背景だけでなく、結論も述べなくてはならない。

・文章の最初と最後が強調ポジション。最後まで読む保証のない文章では最初の強調ポジションが大事。最後まで聴くのが前提のプレゼンなら最後の強調ポジションも大事。

情報を強調するとき、そのポイントは3つに絞る。2つだと手抜きに感じられるし、4以上だと多すぎて記憶に残りにくい。もちろん内容よりも量を強調したい場合は、情報を多く列挙しても問題ない。

・文単位でロジックを詰め込むと、読み手の理解が追いつかない。

・パラグラフは必ず縦か横に接続される。縦とは論理の流れ、横は並列。縦につながっている時はわかりやすく言葉で流れを説明する。横の場合は羅列だけで伝わる。言葉で流れを説明すると、箇所によってはくどく感じるかもしれない。しかし、文学作品ではないのだから、それで構わない。また、全文を読むのはほんの一部の人で、ほとんどは一部の文しか読まないので気にする必要はない

・パラグラフの中では、それぞれの文で、(読み手にとって)既知の情報から(読み手にとって)未知の情報への流れを作る。そうすることで、メンタルモデルに沿って理解しやすく論理の飛躍を防げる。

 
本書を読むだけで、一朝一夕で論理的な文章が書けるようにはならない。しかし、少なくとも、誰かの論文やプレゼンを目にしたときに、どうしてこの文章がわかりやすいのか、もしくはわかりにくいのかのヒントはもらえた気がする。


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