人の心を自由に操る技術/メンタリスト DaiGo著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

hitonokokorowo

心理学、脳科学系のわかりやすい本を探している中で、偶然ぶつかった本。あのDaiGoの本とは中身を読むまで気づかなかった。

専門書ではなく、エンターテインメント寄りに書かれているため、裏付けがなく怪しい点も多々あったが、それでも参考になる点も確かにあり、入門編としては良かったのかもしれない。

以下、備忘録的に。

 

人間の記憶に関して

ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが発見した「記憶の忘却」という理論によると、人間は怒りにしても悲しみにしても、幸福感にしても、20分経つと記憶の42%は忘れてしまう

記憶に残るのは、印象の強い事項と、何度か繰り返し体験したこと。
それも時間とともに薄れるが、定期的にそこに触れ、強調されるとその記憶が定着する。

裏を返すと、相手に印象づけたい商品は、その商品名と特徴を、できるだけ多く定期的に(かつ、できるならば自然に)触れることが大事といえる。

 

相手が自分の話に興味があるかないか

ポイントは口元。
本当に相手の話に興味があって、惹きつけられているときは、口元の筋肉が自然にゆるみ、口が軽く開き、ときおり歯が軽く見え隠れしているはず。

もう一つは視線の動き。
人間は縦に長い動物であるため、興味がある話を聞いている時、視線は頭や胸のあたりを上下しながら縦に動く。
逆に、関心がない場合は、話者を見ることなく視線は左右にゆらゆら、フラフラと揺れている。

頭の中のイメージの配置

人は物事を頭の中で考えているようで、実は「いいものはこのへん、悪いものはこのへん」というようにイメージを立体的(上下左右だけでなく、近く遠くの区別もある)に空間に配置している
このため、何かを考えたり思い出そうとすると一瞬その方向を見てしまう。

昔から、嘘を言っている時は左側、記憶の中から探っているときは右側等と言われていたが、それをさらに膨らませた話。どこにどういうイメージを配置するかは人によって異なるという。

一般的に、夢や目標は遠くに置く傾向があり、悪いイメージほど近くに置くといわれている。

相手が良いイメージを思い浮かべるときに「右を見る」人だったら、強く勧めたいものは、相手の右側に掲げ、相手に勧めたくないものは、相手が”悪い”イメージ”を配置しているところに置く、見せるなどして自分の案を優位にすることが可能。
(これは本当にそうなのだろうか。やや眉唾。とはいえ、自分がどういうイメージをどこに置いているのかを知ることは面白い。)

 

嘘を見抜くポイント

嘘をついているときは、誰でもどこか後ろめたいもの。
その後ろめたさが、人間を”いつもと違う行動”へと走らせる。
つまり、その人の”いつも”を知っておく必要がある。

1.アイコンタクト
自分の嘘が見破られないようにあえて相手の目を直視し、アイコンタクトの時間をいつもより長くする人もいる(特に女性はその傾向が強い)。いつも以上に目をそらさないなと思ったら、その女性が嘘をついている可能性は低くないといえる。
一方、男性は女性に比べると気が小さく、目を合わせたものの、視線が一瞬下に落ちたり、ちらっと他のところを見てからあわてて戻してごまかそうとする人が多い
(これは、自分も思い当たる節がある)

2.腕組み、足組み
腕を組んだり、足を組んだりするのは、拒絶や防御のメッセージ。
特に腕を組むという動作は、「脅かされている」という感覚が生み出す自己防御の反応。
また、手の動きから本心が見抜かれてしまうのではないかと恐れて、無意識にポケットに手を突っ込んだりして手の動きを隠そうとする人もいる。
(腕組みが防御のメッセージだというが、本当にそうなのだろうか。自分について考えると、確かにリラックスしている時は腕組みはしないが、例えば、商談中に相手の話をしっかり聞こうと思った時に腕組みをするケースは多い。これは必ずしも防御や拒絶のメッセージではないとは思うのだが。)

3.過度なセルフタッチ
話の途中でセルフタッチが急に増える。
口の動きが見えないように口や鼻を触ったり、視線をずらすため、また不安な感情からいたたまれずに目をこすったり、鼻を触ったり、顎に触れたり、顔のあちこちを触る。
リラックスしているときにも顔に触れることがあるが、その場合は口元に手をやったまま動かないなど、一箇所を触ったままになる。
(顔を触るのはあるのかもしれない。無意識に。)

4.文脈の乱れ
「Yes 」「No」 で簡単に答えられる質問なのに、それで答えない。
質問に質問で返すなど、動揺は文脈にも表れる。

5.一瞬の安堵を見逃さない
ついた嘘がバレないと思ったとき、人間はとてもホッとする。

例えば、嘘をついているんじゃないかと揺さぶりをかけ、そのあとに「そうなんだ。勘違いだったね」とか「あ、そういうことか、ごめん」と信じたふりをするなど、一度引いたときに、一瞬でも相手が安心した表情をした場合、内心では「自分の嘘は見破られなかった」という心理が働いているはず。
(これも納得。)

6.嘘と笑い、表情の関係
人は嘘をつくとき、笑いが出ることが多い。笑顔を偽装して都合の悪い感情を覆い隠そうとする心理が働くのだ。
たとえば、「え? 私が嘘をついていると思っているんですか?」などと言うときは、笑いを伴っていることが多い。怒った演技をすることもあるが、その怒りの隙間に「笑わせないでくださいよ」「勘弁してくださいよ」というところで、つい笑顔が出てしまったりする。

本当に怒っていたら、虚勢を張ったような怒り方はしないはず。
口では怒っているはずなのに、顔には怒りの表情が出ていない、もしくは遅れて出るというのも嘘のときはよく見られる。一般的には声としぐさ、言葉と表情は、わずかのズレでほとんど同時に表れる。そこに何らかの嘘があると、リアクションが遅れたり、逆に早くなってしまう。
(嘘と笑いの関係は確かに存在すると思う。そんな大きくない嘘をつく場合など、嘘を言いながらうっすらと笑いをかみ殺そうとしている自分がいる。)

7.舌の動き
舌をちょろっと出す動作も、嘘がうまくいったあとにする行為の一つ。
本当にごくわずかな動きなので自分自身でも気づいていない場合がほとんどだが、上唇を舐める、または舐めないまでも口内の乾燥を潤そうと舌を歯よりも前に出す。都合よく飲み物が目の前にある場合は、それを飲んで渇きを解消することもある。

 

相手に特定のものを選択させる

基本的に、人間には自分で選択したい、コントロールしたいという願望がある。だから、相手からいろいろ説明されても、たとえ泣き落としにかかっても、自分で選択することで満足感を得る

また、脳はたくさんの勘違いも引き起こす。その一つが、視覚への過信。目に映るもの、目で確認した事項に引っ張られてしまう

以下、細かい手法。

1.手で特定のものを強調する
商談の最後に、「どちらの企画がお好みですか?」と相手の目を見ながら聞くとする。その「どちらの…」と言うときに、それまでテーブルの上に手を出していたなら一度引っ込めて、改めて出してから自分の決めたい企画書に軽く触れる。これで相手の視線は、自然と自分のの思惑どおりの企画案に吸い寄せられるはず。

2.手で相手の視界を遮る
目の前のものを隠したり影をつける。それにより「選ばせない」という操作が可能になる。

3.相手の記憶にアンカーを入れる
「アンカー」には、ある一定のパターンを作っておくことが大切。仮に「いいイメージ」を伝えるときは必ず手を軽くポンポンと2回叩き、「悪いイメージ」を伝えるときは毎回、髪を両手でかきあげることにした場合。「今日はいい天気だね」と言いながら手をポンポンと叩き、「連休中の天気が悪い」と聞けば「嫌だね」と言いながら髪をかきあげる。同様のことを繰り返すことで、その場にいた人たちの無意識のなかに、アンカーを入れることができる。1対1でなくとも、アンカーをしっかり植え付けられれば、相手が多数でも感情操作は可能。
(これは、かなりプロっぽいやり方。TVでも使われているのだろうか、興味深い。)

 

空間を味方につけて相手との親密性を高める

大切なのは、巷で言われている統計データを鵜呑みにせず、相手のパーソナルスペースを見極めること。

会話のなかで相手から肯定的な反応が多く出てくるようになったり、自分に興味を持っていそうだなと思ったら、距離を縮めてみる。ただし相手が壁を作ったり、ちょっと引いたなと感じた場合は、自分も引く必要がある。

また、人との距離感をグラスの距離で測ることもできる。口を直接つけるものであるグラスの位置は、その人たちの心理的距離感を代弁している。相手のグラスに自分のグラスを少しずつ近づけていったとき、相手が特に動かさず、しかも相手が飲み物を飲んだあと再び自分のグラスの近くに置いたなら、相手がずいぶんリラックスしていられることを意味する。

 

物の配置で印象を操作する

人間は頭を上げるだけでポジティブな選択をしやすくなるという実験結果がある。たとえば、2つのものを見せる場合、高い位置で見せたもののほうがプラスのイメージを持ってもらいやすい
(え?!と思うが、そう言われればそうな気もする。)

プレゼンなどで使うホワイトボードでの空間操作方法。たとえば、自分の企画を紹介する前に、すでに発売されている商品の良い面と悪い面を列挙し、良い面は右側に、左側には悪い面を書くとする。すると、その場にいる人にはなんとなく右側はプラスの情報で、左側はマイナスの情報であるというイメージが植えつけられる。そのあとで、自分の提案を紹介するときは、概要、目的、メリットなどを何気なくボードの右側に書くと、露骨に主張しなくても、この企画は「プラス」のイメージで受け止められることになる。
(上で説明した「アンカー」の話に通じるものがある。)

 

相手の記憶を操作する

記憶を操作というと大層な話だが、要は、その前に話していた内容(の印象)を記憶から減らす方法。

印象的な2つの記憶にはさまれた部分はすっぽりと抜け落ちてしまう、「ストラクチャード・アムネジア」という現象がある。この状況を意識して作り出すことで、その前の会話なり発言を「なかったこと」にしてしまえる。

該当発言後(例えばある失言後)は、その前にしていた話と関連性ができればありつつ、印象的な話をすることが必要。そして、失言した内容については一切触れず、「20分経つと記憶の42%は忘れてしまう」という人間の記憶の法則を最大限に利用する。大事なのは、動揺を見せて、逆に印象づけないこと。

その前にしていた話に関連して、例えば、「話はやや戻るのですが、先ほどの⚪︎⚪︎の商品って何ていう商品名でしたっけ?」と尋ね、それを相手に思い出す努力をしてもらう。

いずれにせよ、記憶の改ざんのためには、相手の好きな話題や、驚くような話を緊急避難用のカードとして持っておくと便利である。

なお、相手が口を開きかけた瞬間に、それを遮ってこちらが先に何かを言うことで、意図的に同様の状況を引き起こすことができる。ただし、タイミングが悪いと、ただ相手の気分を損ねることにもなりうるので注意が必要。

 
———-

以下は、細切れとなるが、それ以外で印象に残った記述を列挙する。

・”接触する回数が好感を誘導する”というアメリカの社会心理学者ロバート・ザイアンスが発表した「単純接触効果」の作用。「ザイアンスの法則」とも呼ばれ、五感刺激の繰り返しが”慣れ”となり、やがて”好意”につながる。人に何かを選ばせたい物がある場合は、その情報を事前にたくさん見せることがポイント。

・右耳から入ってきた情報のほうが納得しやすく、頼みごとをされたときに承諾する可能性が2倍高いというイタリアで行われた実験結果がある。この理由は「脳は左半球が積極的感情に、右半球が否定的感情に同調しており、右耳から入ってきた言葉は頼みを受け入れやすい左半球に送られるのではないか」と考えられている。

人は自分の性格について誰かに話したとしても、誰にどういう話をしたか、よく覚えていない。
(これはなかなか興味深い話。)

・ツァルガイニク効果。相手に答えを出す余地を与えて、操作する。完了していない出来事に対する印象は強くなる。例えば、A・B・Cの3つのプランについて説明する場合、AとBについては詳しく説明するのに、Cはほとんど説明しないなど。あまのじゃくやひねくれ者、人に指図されるのが嫌いで何事も自分で決めたい人には、この方法が効果的。

・慣性のトリック。「イエス」と答えるような質問を繰り返し、肯定的な反応に相手を慣れさせてしまう手法。否定的な答えが予測される質問をしても、「イエス」に慣れてしまうと、その流れを覆して「ノー」と言いづらくなる。

・クロージング効果。相手と何かしらかの”秘密”もしくは”共通の体験”を共有して距離を近づける。”秘密”であれば、「ここだけの話なんだけど、実は」のようなこと。”共通の体験”であれば、全体での打ち合わせとは別に、個別に打ち合わせをして意見を聞いたり確認事項を共有したりする。自分と同じ集団のなかにいるとわかった瞬間、相手に対する評価は30%以上甘くなるもの。

・ミラーリング。体の動作や姿勢が人と合ったりすると、不思議と近しい感覚がわいてくる。自分が親しくなりたい人の動きを鏡のように真似て、相手との親近感を作り出す。

本当の自分なんて誰もよくわかっていない。だから、普段はあまり言われないことを耳にすると「確かにそういうところはあるかも」「この人ならわかってくれるかも」と錯覚する

・Door in the face方式。最初に難しい提案をして相手に断らせ、次に現実的な提案をして受け入れさせる。

・ある心理学者は「第一印象は人と会って7秒で決まり、その後、相手や状況にもよるが、その印象は長ければ半年は変わらない」と言っている。
(『脳科学がビジネスを変える』には、「顔の第一印象は0.1秒で決まり、その後はほとんど変化しない」とあった。)

・人間は、最初の5分間で”その場のルール”を無意識に感じ取り、認識する。

・自分自身をリラックスさせる「ルール」を作っておくことで緊張を多少やわらげることができる。例えば、普段リラックスした時に、時計を一旦外して逆の腕につける等のルールを作る。それを繰り返すことで、緊張を強いられる場面で、同じことをすると緊張した環境にありながらもどこかリラックスした気持ちになれる。

・ダブルバインド。てっとり早く結論に導くために、相手にお願いせずに、二者択一をせまる方法論。

 
とまあ、結構参考になることがあった。


サブコンテンツ