刑務所のリタ・ヘイワース/スティーヴン・キング著

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shawshankredemption

『ショーシャンクの空に』の特典DVDボックスに、原作となったスティーブン・キングのこの小説も入っていて読むことに。

おおよそは映画と内容が同じ。
ただ、語り部たるレッドの色が強い

また、映画では省かれている、細かい部分の説明描写が多い。
例えば、アンディが冤罪となった事件そのものの描写だったり、法廷でのやり取り、刑務所内でシスターと呼ばれる奴らとアンディがどう闘ったか、そして脱獄のルートの悲惨さ、などなど。

逆に、映画では印象が強かった、所長の帳簿を、「神の裁きはくだる、即刻(His Judgement Cometh And That Right Soon)」と書いてある額縁の裏の隠し金庫に入れるシーン。所長の服と靴をパクってそれを脱獄後に着るシーン。汚いアンディの靴が所長のシューズケースに入ってるシーン。聖書の中にロックハンマーが隠されていることが明らかになったシーン、トミーが射殺されるシーン、レッドがメキシコのシワタネホ(Zihuatanejo)らしき街の海岸を歩くシーン、等は原作にはないものだった。

hisjudgement
これが、映画の中での「神の裁きはくだる、即刻」の額。

 
以下、小説の中で心に留まった箇所。

刑務所職員の汚い仕事の片棒をアンディが担いでいることにレッドが難色を示すと、アンディは刑務所の中でも外でも仕事は変わらないと云う。

この刑務所を支配している連中は、たいていが愚鈍で残酷な怪物だ。堅気の世界を支配している連中も残酷な怪物だが、たまたまそれほど愚鈍じゃない。それはシャバの能力の基準がちょっぴり高いからだ。たいして高くはないが、すこしだけね。

そして、どの仕事を受けて、どの仕事を断るかということについて。

レッド、われわれのような人間は、第三の選択肢があることを知っているからだ。純潔をつらぬき通すのでもなく、ヘドロと汚物にどっぷりつかるのでもないもうひとつの道。それは全世界のおとなたちが選んでいる道だ。欲に目がくらんでどぶ泥の中におっこちないよう、バランスをとって歩く。ふたつの悪のうちの小さいほうを選び、自分の善意を見失わないように進む。で、自分がどれだけそれをうまくやってるかは、たぶん、これで判断できるんじゃないかな。夜にどれだけぐっすり眠れるか……そしてどんな夢を見るか

ふたつの悪のうちの小さいほうを選び、自分の善意を見失わないように進む」。納得。
そして、夜にどれだけぐっすり眠れるかで計ると。

 
話は変わって、レッドの一人語り。

1958年のある日、監房の小さなひげ剃り鏡をのぞくと、四十歳の中年男がおれを見かえした。……その日、おれは自分の中にいる老人が、外に出るときを待ちわびているのを見てしまった

自分の中にいる老人が、外に出るときを待ちわびている」という表現。

映画を観ている時はそんなことは考えなかったが、ポスターの壁の裏の穴が気づかれなかった強運について。

アンディは、発見の可能性におびやかされていた。おれに思いつけるいちばん恐ろしい皮肉は、やつが仮釈放を与えられた場合だ。仮釈放者は、実際に出所する三日前に、軽警備棟へ移されて、そこで綿密な身体検査と、職業適性検査を受けることになる。そこにいるあいだに、古い監房はすっかり大掃除される。

まぁ、そう言われればその通りだ。
この辺りの細かい説明は、映画ではごっそり省かれていたのだ。
それで良かったのだと思う。

 
え?!と思ったのはレッドがアンディのことを

やつは善良なくろんぼだった

と評していた箇所を読んだとき。もしや、アンディは黒人という設定だったのか…?!と思ったが、一番最初にアンディを説明する時に

砂色の髪と小さな器用な手をした、身だしなみのいい小男だった……いつもネクタイを締めてる感じ……シャバにいたときは、ポートランドの大銀行の副頭取で、信託部門の責任者

とあるから、やはり白人だろう。
「善良なくろんぼ」とは何か別のことを意味しているのかもしれない。

 
これは、内容とは関連が薄いが

ビーファロニ、ライス・ア・ロニ、ヌードル・ロニ。アメリカの定額所得者の老人たちが食べているものは、たいてい最後にロニのつくものだ

というの読んで、この食品は何ぞやと思い調べたら
実際に以下ような商品が売れているほど、メジャーなもののようだった。
ronis

最後に、レッドが黒曜石の下にあるアンディからの手紙を読むシーンは、わかっていてもグッとくる。

忘れちゃいけないよ、レッド。希望はいいものだ、たぶんなによりもいいものだ。そして、いいものはけっして死なない。わたしは希望している。この手紙がきみを見つけることを、そして元気なきみを見つけることを。
 
Remember Red, hope is a good thing, maybe the best of things, and no good thing ever dies. I will be hoping that this letter finds you, and finds you well.

希望はいい。
そして、やはり、スティーブン・キングの作品は英語で読みたい。


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