革命社長/吉越浩一郎著

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革命社長

一時期、異端の経営者として脚光を浴びていたトリンプの社長である吉越浩一郎氏。

その後、いろいろと問題があり、たたかれたりもしていたが、2005年に出された本書には、彼の経営の特長が示されていて、勉強になる点も少なくなかった。

以下、覚えておきたい点。

促されてやってみると、やることが決まっている作業であれば、期間を短く設定したほうが人は動けるということがわかった。

無理と思われることを「1日でやれ」と短く設定するほうが、本人の能力も効率も上がると。それはそうかもしれない。

 
社長の本気度合いが社員を動かす。

吉越さんは、どんなに些細なことであろうとも、一度デッドラインを決めたからには、そのために必死になるのは当然だと思っている。事の大小に関係なく、全部に真剣。全力投球で臨むんです。それを見てるから、部課長クラスの人間も必死になるし、「社長でさえあんなに一生懸命なのに、おまえら何をやってるんだ」と、部下に対しても言える。

 
社員の業務遂行の効率を上げるために。

社員は邪魔のない静かな個室にいて、与えられた仕事をどんどんやればいい。なのに、同じフロアにいて、ワイワイガヤガヤしているから、落ち着いて自分の仕事に没頭できない。それは仲が良いこととは違います。結局、みんながいなくなってオフィスが静まってから自分の仕事をするから、残業することになってしまう。… うちは個室までは与えられないけど、毎日昼休みの後、12時30分から14時30分までの2時間を「がんばるタイム」という、私語禁止の仕事に集中する時間にしています。


つい、仕事を自分の人生そのものと考え必死になり過ぎてしまうことがあるか、そうではなくゲームと捉える視点も必要だと。

ゲームだと思えば、余計な力も抜けて、いろんな手法を考えられるし、楽しくなる

 
プライベートを充実させてこその仕事だというスタンス。

自分のいない間、部下や後輩に仕事を任せることで伸ばしていくというスタンスが大事だし、仕事ができる人ほど休暇はきちんと取れるはず

 
社員や、新規案件への投資について。

社員の「本気」には投資していくべき … その案件がロジカルである限りはこれもやってみよう、あれもやってみようと、どんどん前向きに実践していかないと。… すべての準備に時間をかけて、万端に整えてから始めようとするよりは、どんどんやったほうが正解です。やはりスピードが肝心です。

 
仕事における男女差。

どうしても男というのは時間をかけて訓練しないと。大器晩成型なんですね。そこへいくと女性のほうが発達が早い。これはもうしょうがないんです。

 
優秀な社員の技術をどうしたら社員全員で共有できるか。

本人さえも気がつかずにやっている部分、文字や言葉にできない暗黙知というものが、実は非常に重要 … それを学ぼうと思ったら、自分で”盗む”しかないのです。

そのためには、自分で自分を磨くしかない。

たとえば、辺りの物を見回して、自分ならこれはこう作るとか、こんな風に使ってみるとか、些細な身の回りのことにも気を配って考えてみる。そうやって普段から頭を働かせていると、何か意見を求められた時でも、気の利いたことを言うことができます。そうやって、日々自分をどうレベルアップさせるか考えて取り組む。

 
大切なのは「ロジカルシンキング」と「現場感覚」。

感情で判断する習慣を直して、ロジカルに考えるようにするには訓練あるのみ。同じことを繰り返すしかない。それは本当は学校でやるべきことなんです。もうひとつ大事なのは、「現場感覚」。… 「アンケートを取ります」というのがいい例で、僕はそれが大嫌いです。直接本人に聞きに行けばいいことなんです。… そうやって、何でもかんでも統計を取ればいいと思ってるから、現場感覚からずれていってしまう。

アンケートを安易にとろうとする感覚は自分にもなくはないので、気をつけよう。

 
社内のことをオープンに話し合う、毎朝会議のアドバンテージについて。

日本人は性格的に非常にいいものを持っていて、一緒に話し合って進めながら「みんなでやる」というやり方を好む。すると、安心感を提供できる場がないと、不安になるんですね。会議があれば、毎朝その場で議題が持ち出されて方向が決まっていくから、「私はこれでどんどん進められる」と、安心して仕事ができるわけです。

 
会議の手法について。

決まったことについては「誰が、何を、いつまでに」というデッドラインを引く。それもできるだけ細分化して、期限は短く。基本は「翌日」まで。… そうでなければ、問題となっている”鉄”を熱いうちに打てなくなってしまうからです。デッドラインを長く設定してしまうと、冷めてしまった鉄をもう一度焼き直して叩かなければならない。しかも鉄の性質は変化してしまうし、何のために打つのかも忘れていたりするんです。

この、デッドラインは基本的に翌日までとするのは、非常に効率的だなと感心した。

質問がある時にはメールじゃなく、電話で聞く。一対一のメールは誤解が生じやすいので極力使いません。

社員によると、吉越さんは「会社のことをすべて何でも知りたがるんですよね。どんなに忙しくても、気になることがあれば、すぐに直接電話してきますからね。「ダンナさん、元気なの?」なんて言いながら」と。

確かに電話で話したほうが早いし、わかりやすいことは多い。でも億劫になってしまいがち。「誤解が生じやすい」のか。自分も意識しよう。

 
ファッション関連商品の特徴について。

ファッション関連の商品は、限定感がなくなったら購買意欲が失せてしまうものです。いつでも売っている物を身につけていると、「あれはどこどこの店で売っている物だ」と、周囲にわかってしまいますから。… 売上が緩やかに落ちていくカーブの手前で新しい商品を投入していくほうが、多くの売上を見込める。これは女性の心理からすれば当然のことです。

女性の新ブランドを30億円売り上げるのと、男性のインナーを同じ金額だけ売り上げるのとでは、労力に雲泥の差があります。なぜかというと、これはもう男性と女性の下着に対する本能的な違い

 
最後に。

業績をあげるためには、気づいたことはすべてやってみること、そしてやり切ることに尽きます。そうすれば、結果が必ずついてくる。間違えを正しながら前に進んでいけばいいんです。

すべてやってみる。それもやり切る。みんなわかっていそうなシンプルな事ではあるが、実践するのは大変なこと。今一度自分に言い聞かせねば。

本書を読んでみると、吉越イズムのわかりやすさが伝わってくる。何よりも魅力的な人物であることがよくわかる。


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