ゴールデンボーイ/スティーヴン・キング著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

goldenboy

刑務所のリタ・ヘイワース」と違って、こちらはホラーというか、サスペンス要素が強い。
ただ、前半がやや間延びする。その理由の一つに、翻訳ものだということがあるだろう。訳が悪いとのではなく、固有名詞を含めて考えながら読まないと、スッとは頭に入ってこない部分がある。

ラスト近くになってストーリーは一気に加速するが、どちらかというとトッドとドゥサンダーが出会ってから、その後しばらくの前半の前半のほうが緊張感・スリルに満ちていて印象的。

ナチに興味を持つ少年と、元ナチの強制収容所の戦犯者。パンドラの箱を開け、二人とも蝕まれ、共に、それぞれ浮浪者を殺害する。このあたりのストーリーは、あらためて考えると現実味が薄く、サスペンスというよりはホラーなんだろう。
その辺りに、冷めてしまう自分もいた。

そう考えると、ホラーって想像力豊かな人じゃないと楽しめない分野なのかもしれない。

お互いに秘密を握りあって、最終的にはトッドのほうが分が悪くなる。秘密を相手に握られていて、その相手が死ぬと自分の秘密が公にされてしまうというシチュエーションは、単純だけど強いものだというところが、面白い。

ドゥサンダーの言葉で印象的だったのが

人間は年をとるにつれて、生と死の問題で失うものが少なくなる……たもかかわらず、ますます保守的になっていく

逆に、トッドの言葉で印象的だったのが

朝という時間は、自分がいちばんむきだしにされ自分の実像と虚像をへだてる壁がいちばん薄くなっているように思える

とても、中学高校生の言葉とは思えないが。

キングへのインタビューから

ぼくは自分の精神分析に興味はない。なによりも興味があるのは、自分がなにを怖がっているかに気づくときだ。そこからひとつのテーマを発見することができるし、さらにはその効果を拡大して、読者をぼく以上に怖がらせることができる

ホラーの第一人者たるお言葉。

最後に、小説内に何度か「脱腸帯」というワードが出て来るが、何のことだがわからなかった。調べたら、その文字の通りのものだった。別名「ヘルニアバンド」。この”ヘルニア”とは、一般的に云う”椎間板ヘルニア”ではなく”外鼠蹊ヘルニア”のこと。日本ではあまり耳にしない(気がする)が、アメリカではメジャーな代物なのだろうか。


サブコンテンツ