もうひとつの恋/俵万智著+浅井慎平写真

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もうひとつの恋 感想
普段、俳句や短歌を読むことはほとんどない。
ただ、俵万智さんについては、親が好きだったこともあり、幸運なことに私も触れる機会が時々ある。

本作は1988~89年に「月刊カドカワ」に連載された、浅井慎平氏の写真と俵万智さんの歌をまとめたものである。

以下、心に留まった歌。

電話にて風の具合を告げながら
安心させたい
心配させたい

言葉とはもどかしいもの
親切と愛の違いの
違いがほしい

この恋を
さあどうするのというように
君のバースデーが近づく

出かけゆく君に手渡すおにぎりは
塩あじひかえめ
愛もひかえめ

もう次に会う日のことを考えている目の前に君がいるのに

チンという音をたてずに
置く受話器
なにかが切れてしまわぬように

会うことができれば
こんなに会いたくはないかもしれず
会えぬ一日

小説とは違い、限られた文字数で、情景を切り取って伝えてくれる。

5・7・5のリズムが良いことも、これら現代の言葉づかいを通して、初めて心から知ることができた気がする。
何度も反芻しやすいのも良い。

そして、いずれも共感を生む、恋の心情を表わしている。

あとがきに

歌は心が揺れなければ生まれない。恋は、心の揺れそのもの。恋は、歌の種そのもの。

とあった。
“揺れ”を確かに感じて、自分の心が共振した。

 
<<追記という名のメモ>>
「ぬばたまの~」
という歌があったが、「ぬばたまの」は”夜”につながる枕詞だった。


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