【書評・感想】 すごい会議/大橋禅太郎著

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sugoikaigi

珍しく、ビジネス書に手を出してみた。
とはいっても、数年前に買ったっきり読んでいなかったもの。

以下、心に留まったところ。

著者がマーケティング会社「ガズーバ」を立ち上げる際の、その社名をめぐっての話。

ネーミングというクリエイティブなプロセスを合議制でやることに疑問を感じていた僕は、一人だけ違和感を発していたと思う

「ガズーバ」という名前に票を入れ、その理由を

スーツを着て会社に行きたいならスマートな名前がいいと思う。でもアテンションが欲しいなら、ガズーバだ!

と答えた。
そう。サービス名を決めるときに多数決をとると、だいたい無難なやつに決まりがち。
多くの人の総意で決めた感は出るものの、勢いが出ない。
私見としては、一番そのサービスにコミットする数人で決めるべきだと思う。

「ガズーバ」という言葉を口にすると、まず「ガ」という音は腹でひびく、次の「ズー」は口のなかでひびき、最後の「バ」は口の外に出ていく。たまたま選んだ名前だったが、発音すると、叫んで気持ちいい音だった。

その名前に愛着さえもてれば何でもいいと思うが、この口にして気持ち良い名前というのも一つのポイントだと思う。

プログラマーを採用した時のエピソードから。

相手に熱意を持って売り込む。判断するのに100%正しい客観的基準などないのだから、相手にどれだけ「伝わるか」が大きな差を生む。崖っぷちで、あとのないやつは強い。

新鮮なうちはこの気持ちが続くが、すぐに忘れてしまう感覚。

著者らがコーチをお願いしたハワードは、会議で、いきなり意見を発表させるのではなく、いったん紙に書いてから発表させる。
なぜいったん紙に書いてから発表させるかというと、「内容がまとめるうえ、人の意見が入らないメリットがある」からである。
しかも、このメリットを最初に言ってから紙に意見を書いてもらうのではなく、意見を書いてもらって発表した後でメリットの説明をする。
そうすると、腹落ち度合いが高くなるという。
これは、確かにそのとおり。

<実体験>→<質問>→<洞察の提示>

という方法は、意識して使うようにしたい。

ハワードは、現時点で何が達成されているかを、紙に書くよう指示する。どうしても見つからなければ、「電灯がついている」ことでも構わないと補足しつつ。
そして、書いた内容を、一人一つずつ順番に発表させる。

この方法だと、一人の意見で全体の雰囲気が動くのではなく、みんなの意見が平均的に出てくるで、悪くない。それにもまして、「けっこうイケてるじゃん!」というのがたくさん出てくるので、雰囲気もよくなる

どん底まで落ちている組織に、上を向かせるには良い方法。
マイナスを見るのではなく、プラスを見る。
皆の素の意見を聞く。

続いて、ハワードは、組織の問題点を書かせる。
そして、各問題を、「どのようにすれば~か?」の形に書き換えさせる。
例えば、問題点が「会社が面白くない」だとすれば、「どのようにすれば会社が面白くなるか?」に書き換える。

「できない説明ではなく、解決策を言ってほしい」というのは、すべての経営者が社員に対して求めていることだが、それを手に入れられる経営者は多くない

その助けとなるのが、上の方法。

そして、さらに、問題点を全て書き換えさせた後で、ハワードはこう言う。

言わなかった問題、言えない問題、言ってはいけない問題はなにか?

この会社のひどい真実はなにか?

では最後に、あなたのひどい真実はなんだ?

この問題に関しても、上と同じように、「どのようにすれば~か?」の形に書き換えさせる。

最初に出てきた問題よりも、後半に出てくる「言えない問題」「ひどい真実」のほうが、経営をやっていくうえで、より重要度が高いものが出てきたことだ。これらを放っておいたままで、最初のほうに出てくる問題をなんとかしようとしても、問題の根を絶やすことはできない。「問題の本質はなんだ?」と質問してもなかなか答えは出てこないが、このフォーマットでやると答えが出てくるから不思議だ。

人を問題の本質に向かい合わせる、効果的な方法だ。

会議について。

放っておくと会議の時間の95%は「コメントの交換」に使われている。これを「明確化のための質問」「代替案の提示」「リクエスト」の三つだけに絞ると面白いほど会議が前進する。

ノーコメントの会議も多いが、議論を交わしているようでも「コメントの交換」と言われればその通りだ。

コミットメントリストの進捗欄のところを、よくある%表示ではなく、このまま行くと予定と比較して何日遅れるか(もしくは早まるか)の数字を入れさせる方法をとっている。こうすると具体的な対策が立てやすいと言う。

また、著者は、クロスチェック(自分だけでなく誰かにチェックしてもらうこと)の重要性をうたっている。

何かをより確実にするための、誰にでもできる「方法」で、それを経営でやると、驚くほどにその効果が表れる

具体例がピンと来なかったが、頭の片隅に入れておこう。

問題の解決方法について。

ビジネスを進めていくと、いままでに解決したことのない問題に出合う。多くの問題は、ちょっと考えて解決策が出ないと、あとは「悩み」モードに入り、解決されないことが多い。

そんな時は、以下の、集団解決の型を使うことを合意しておくと、ほとんどの問題は、「できる・できない」から「やる・やらない」に変わると。

A.優先順位をもとに、ミーティングの時間内で許す限り、次のステップをする
1)問題を「どのようにすれば~できるだろうか」のかたちに書き換える
2)現状を書いて、発表する
3)代替案を各自紙に書いて発表する
4)どれを実行するかしないか決めて、担当者と期日と望まれる成果を明確にし、コミットメント・リストに記入する
B.ミーティングの終了時間10分前になったら、残った問題を、誰がいつまでに解決するか(またはとりあえず放っておくか)を合意する

著者は、コーチをする際にときどき、「くだらないアイデアをあと二つ追加してください」とリクエストするらしい。

普通のアイデアは他社でもやってる。一見くだらないアイデアを、プロとして実行できるやつらはそこで確実に差が出る。

著者は言う。

すごい会議をするようになってから、僕らは頻繁に「お祝い」をすることにした。
日々「砂漠に水を撒いている」ので、「お祝い」をすると前進していることが確認できる。
ほんのちょっとしたことで楽しいイベントは実現できる。

確かにそうだ。自分も意識したい。

どのビジネス書も、そしてセミナー等もそうだが、読むだけ、参加するだけでは意味はあまりない。
これをどうやってリアルに生かすか。


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