MLBが巨額の投資を選手にできる理由

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日経電子版の丹羽政善氏によるコラム「田中獲得に巨額投資、大リーグ資金源のカラクリ」が興味深かった。

ヤンキースと田中将大は7年総額で1億5500万ドル、日本円にして約159億円、1年あたり22億7千万円の契約を結んだ。
そのお金はどこから出てくるんだろう?というのは誰もが抱く疑問だろう。

田中に限らず、ここ数年MLBスター選手の年俸は「バブル」とも言われる状況。
これを作り出したのはテレビマネーだという。

放映権料が上昇しているのだ。

放映権料のいくつかを紹介すると
・マリナーズ 20年間年平均1億ドル(2013年~。それまでの2倍以上)
・レンジャーズ 20年間年平均1.5億ドル
・エンゼルス 20年間年平均1.5億ドル
・ドジャース 年平均3.4億ドル(~2038年。あと24年!?)
・さらにMLBからの放映権分配金 年平均5000万ドル(2014年~。それまでの倍)

え?野球人気が高まっているの?と思いきやそうではない。
MLBと全米中継の放映権契約を結んでいるFOXのテレビ中継の視聴率を見ると、2001年に2.6%だった視聴率は徐々に下がり2012年には1.7%となっている。

ではなぜか。

逆転現象の裏には米国内の視聴スタイルの変化が透ける。

ここ4~5年で、各家庭にはテレビ電波を受信するケーブルボックスにハードディスクが内蔵された「DVR」が一気に普及し、操作も容易であることから、そこに直接録画するのが一般的となった。

ここ5年ほどで、テレビ電波を受信するケーブルボックスにハードディスクが内蔵された「DVR」というものが全米で普及し、操作も簡単であることから、そこに直接録画するのが主流となってきている。

米国内の視聴率には様々なものがあるが、そのDVRに録画したものも一部含まれる。ということは、視聴率の高さとその番組が生で見られていることとが一致しなくなってきたのだ。

そこで、DVR経由で見られにくいリアルタイムの番組ということでスポーツ中継にスポンサーの注目が集まったということらしい。

それにしても、この高騰ぶりはすごい。

06年に18億ドル(7年間)で大リーグと全米中継の放映権契約を結んだFOXは12年、09年以降は視聴率が1%台に低迷しているにもかかわらず、40億ドル(8年間)で契約を延長した

しかし実は、アメリカのテレビ局の経営を支えているのは広告収入よりも受信料のほう。

スポーツ専門局の「ESPN」の場合、110億ドルという13年の収入のうち、約60%を受信料で得ている。CM収入は32%にすぎない

米国内でテレビを見る場合、ケーブルテレビ会社が提供するパッケージの中から、自分の見たい番組の多いパッケージを選ばなければならない。一番安いパッケージでも100番組以上が含まれており、全く見ない番組があっても抱き合わせで契約せざるをえない。

各家庭が払う受信料の中からどれくらいの比率を受け取るか。それが各テレビ局の収入を大きく左右するが、立場が強いのは抱き合わせの主たる番組となっているスポーツ番組で、例えば、平均的なパッケージに入っているスポーツ番組はせいぜい全体の10%程度だが、受信料のうち40~50%が彼らの取り分になるそうだ。

ESPNは今年、昨年の5.54ドルから値上げして、一世帯当たり7.31ドルを課金する。一世帯の平均ケーブルテレビ料金が80~90ドルといわれているので、7.31ドルという数字がいかに破格かが分かる。

ここでもスポーツ番組が幅を利かせていることがわかる。

しかし、これだけのデータだと完全には納得は行かない。

視聴率データで、DVR込みとDVR抜きの両方のデータがあって、スポーツ番組以外の番組はDVR抜きだと視聴率がガタ落ちみたいなことになっているのだろうか。

それともテレビ業界側からの圧力で、DVR抜きの視聴率データは作らせない傾向にあるのだろうか。

それとも、スポーツ中継、観戦というものが、アメリカ人の生活に深く入り込んでいるということなのだろうか。

いずれにしてもこんな皺寄せはどこかに現れる。
今はスポンサーと視聴者側が損をしているような気がしてならない。


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